7/28(金) 1日目

<オープニング>
『Reborn-Art Festival 2017 × ap bank fes』がついに開幕。オープニングは櫻井和寿をボーカルに迎えたBank Bandのステージから。映像と相まった印象的なオープニングを経て、「夏にぴったり」(櫻井)というカバー曲や、これぞap bank fes!という楽曲を披露。「さあ、ap bank fes 2017やってきたぞ! 夏が来たぞ!」とその胸の高鳴りを伝えるMCをする櫻井は、雨予報が外れ、曇天ながらも雨を堪えている空を眺めて「俺がすごい楽しみにしていたからだと思う」と笑う。最後は「すげーアーティストがいっぱい出るよ!」と言い、KICK THE CAN CREWへとステージをつないだ。


M1:What is Art?
M2:夏の魔物
M3:奏逢 ~Bank Bandのテーマ~

<Bank Band with KICK THE CAN CREW>
ことし14年ぶりに活動を再開することを宣言したKICK THE CAN CREWは、もちろんap bank fesには初登場! おなじ柄のデザイン違いの衣装を来てステージに現れたLITTLE、MCU、KREVA。3人揃った姿を見るだけで感慨深い思いになる。1曲目は“マルシェ”。3人で畳み掛けるようにラップし、会場を一気に盛り上げる。「3人で出られて嬉しいです。この気持ちを全力で表したいと思います。“100%”NO、“千%”!」(KREVA)と続く“千%”につなげる。LITTLEは「我々、14年ぶりに活動をさせてもらっていて、夏フェスとかツアーとかやるんだけど、その一発目が今日です。apで良かったです」と話し、ラストは“アンバランス”。Bank Bandの生演奏がメロウなこの曲にはぴったり。それまで腕を上げて音に反応していた観客も、自然と身体を横に揺らしている。KREVAが「KICK THE CAN CREWでした!」と挨拶すると、アウトロを鳴らしながらステージを去った3人。音が止むと、会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。

M1:マルシェ
M2:千%
M3:アンバランス

<水曜日のカンパネラ>
KICK THE CAN CREWの三人が「男前」なステージを見せた後は、水曜日のカンパネラ・コムアイが、「女前」と言えるような、女性の強さと美しさが溢れ出るライブを見せた。1曲目“マルコ・ポーロ”のイントロが流れ、オーディエンスがステージに視線を向けるなか、なんと、ステージ左手前方からトラックに乗って登場。アーティストユニット「Yotta」がクジラ、波、ミラーボールのデザインを施したステージトラックに乗って、カラフルな鱗をまといながら歌うコムアイの姿は、まるで人魚のような美しさを放っていた。そして広い会場を走りまわったり、人間が持ち得る自由を最大限に活かして表現するコムアイのパフォーマンスには、ただ「驚き」を与えるだけでなく、感動を誘う力があった。途中のMCでは、かつてMr.Childrenのファンクラブに入っていたことを明かす場面も。そして最後、なにもない、誰もいない空っぽのステージに立ち、すべてのオーディエンスの視線をたった一人で背負って“桃太郎”を歌う姿には、とてつもない逞しさがあった。

M1:マルコポーロ
M2:嬴政
M3:ウランちゃん
M4:ユタ
M5:桃太郎

<Awesome City Club>
ディスコファンクなグルーヴと、atagiとPORINによるソウルフルな男女ボーカルで広い大地を揺らしたのは、5人組バンド・Awesome City Club。MCで、atagiはこの場所を「音楽と緑と人のエネルギーが溢れる場所」と表現。新曲“ASAYAKE”は、バンジョーを鳴らしたりボーカルにエフェクトをかけたりと、音楽性から見てAwesome City Clubにとって新境地と言える1曲であるうえに、<夜明けの歌 僕らだけの歌><歌おう>とオーディエンスを巻き込んで合唱するこの言葉を、再生・復興をコンセプトのひとつとして掲げる『Reborn-Art Festival 2017 × ap bank fes』で歌ったことには、大きな意義があったと思う。ステージのうしろに飾られている「A」「C」「C」という文字は、もちろんそのバンド名の頭文字を取ったものであるが、“ASAYAKE”で会場全体を包み込んだ後は、「Artistic」「Cultural」な活動を通して目の前の人と「Communication」したいという彼らの意思の表れであるかのようにも見えた。

M1:Don’t Think Feel
M2:It’s So Fine
M3:アウトサイダー
M4:ASAYAKE
M5:今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

<Mr.Children>
現在、デビュー25周年ツアー中のMr.Childrenが登場。グルーブ感もバッチリ出来上がっていて、1曲目からイントロを聴いただけで誰もが知っている曲を繰り出して一瞬で観客の心を鷲掴みする。マイクを使わずに「元気!」と叫ぶ鈴木に変わって、桜井は「JENが言ってるよ、元気?(笑)」と代弁。そして「Mr.Childrenです。すげー一日にするよ!」と約束してくれる。ステージの途中で、雨がパラついて来ると、「この辺で雨が降ったっていいじゃない」といたずらな笑みを浮かべ、「雲ひとつない晴天をイメージして選曲した」という曲を、実際の天気は無理でも、聴いた人たちの心を雲ひとつない晴天にするような歌声で届ける。夏の野外に似合うというテーマで集められたヒット曲メドレーのようなセットリストを、桜井はシャツが透けてしまうくらい汗をかきながら全力で歌い切り、終始観客を沸かせ続けた。

M1:innocent world
M2:youthful days
M3:ニシエヒガシエ
M4:君がいた夏
M5:名もなき詩
M6:himawari
M7:エソラ
M8:シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜

<Bank Band with 大森靖子>
3組のバンドアクトが続いた後は、再びBank Bandの時間。まず、昨年も『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』に出演した大森靖子が登場。1曲目は、欅坂46の“サイレントマジョリティー”をBank Bandの生演奏とともに歌う。続く2曲目は、Mr.Childrenの“掌”をカバー。意外な選曲にも思えたが、曲の途中で「私はあなたのことを歌いにきました」と語ったとおり、一人ひとりに向けて、どんなボロボロな生き方も肯定するように歌う大森と、<それぞれが夢見てること それぞれが信じてること〜ひとつにならなくていいよ>という“掌”の歌詞は、同じ目線を向いていた。出演後に大森がTwitterでつぶやいていたコメントによると、中学時代に“掌”の歌詞をノートに写していたそうだ。心の叫びと祈りが混じったような震える声で、“オリオン座”を含む3曲を歌い上げ、強烈なインパクトを残してステージを去った。

M1:サイレント・マジョリティ
M2:掌
M3:オリオン座

<Bank Band with 秦基博>
次にステージに招かれたのは、秦基博。“鱗”“スミレ”“70億のピース”と、立て続けにその美声をBank Bandの演奏とともに響かせる。最後の1曲では、櫻井和寿をステージに呼び込み、昨年10月に熊本で開催された『MUSIC for ASO supported by ap bank』でもともに披露した“ひまわりの約束”を届けた。『ドラえもん』の映画の主題歌にもなっていたこの曲、櫻井は「トイレやお風呂でよく歌っている」とのこと。まるで自分の曲かのごとく、歌に対して愛おしさを込めながら、その言葉もメロディーも自分のものにしている櫻井の声と、秦の声が合わさると、言うまでもなく極上のハーモニーが出来上がっていた。

M1:鱗(うろこ)
M2:スミレ
M3:70億のピース
M4:ひまわりの約束

<back number>
ここまで何とか頑張ってくれていた天気だったが、ついに雨が降り出してしまう。でもback numberにかかれば、それも一つの素敵なエッセンスに。ボーカル、清水は雨を「上空からの遅めのウエルカムドリンク」と表現し、その抜群の言葉のセンスで観客の気持ちを前向きに変える。“半透明人間”からスタートしたステージは、すべてが昨年大ヒットしたベスト盤『アンコール』からの楽曲で、鉄板と言える選曲。夏の夕闇の中の雨というシチュエーションがさらに切なくさせた“わたがし”“ハッピーエンド”、雨に立ち向かうことでさらに盛り上がりが増した“高嶺の花子さん”“青い春”など、この日、この場所で聴くことで曲に新たな景色が加わる。MCでは清水得意のぼやき調で(笑)、『ap bank fes』への初出演を「どうやったら出られるんだろうって、模索したときもあった」と、心待ちにしていたことも明かしつつ、「聴いた人に寄り添ってもらえる、ちゃんとした曲」を作って、またこのステージに立ちたいと語ってくれた。最後は「また歌いに来るからなー、“スーパースターになったら”」と曲名をかけて宣言し、その“スーパースターになったら”を雨に打たれながら熱唱。サビでは観客と一体となって大合唱を起こし、初出演のステージを大成功で終えた。

M1:半透明人間
M2:SISTER
M3:わたがし
M4:ハッピーエンド
M5:高嶺の花子さん
M6:青い春
M7:スーパースターになったら

<エレファントカシマシ>
ステージに現れるやいなやしゃべり出す、ボーカル宮本。Mr.Childrenのデビュー25周年を引き合いに出しつつ「我々も30周年」と伝え、「代表曲を捧げます」と“悲しみの果て”からライブをスタートさせる。宮本の伸びやかで力強い歌声が、いよいよ本降りになってきた雨を弾き飛ばすかのように夜の闇に放たれる。続いて、かつてMr.Childrenに抱いたちょっとした嫉妬心を明かしながら、「ヒット曲」と自負する「今宵の月のように」へ。その後も今年リリースされたオールタイムベスト『All Time Best Album THE FIGHTING MAN』から次々と曲を披露して行く。「総合司会の宮本です」と、いつもの自己紹介をするが、いつも以上に観客への言葉が増える宮本。リリース当時のバブルと言われた時代のエピソードなども話ながら歌ったデビュー曲「デーデ」、10歳のときに実はレコードを出して、その曲が流れていた『NHK みんなのうた』で40年の時を経て再び歌えた感慨を語った最新曲「風と共に」など、言葉も多かったがその言葉以上の思いがこもった曲たちを届ける。大降りになる雨にわざと挑むように屋根のない場所へ進んで出て行き、さらにはバケツにためた水を頭からかぶるパフォーマンスも。観客とともに濡れ、叫びながら、30周年の貫禄と、30年経っても変わらぬ思いの熱さを見せつけてくれた。

M1:悲しみの果て
M2:今宵の月のように
M3:デーデ
M4:風と共に
M5:風に吹かれて
M6:RAINBOW
M7:ガストロンジャー
M8:俺たちの明日
M9:ファイティングマン

<Bank Band with スガ シカオ>
雨が強まるなか、Bank Bandとともにスガ シカオが登場。まるでこの天気を予測していたかのように、「1曲目は“夕立ち”という曲を用意しました」と言って、スガ流ファンクを鳴らし始める。Bank Bandのホーン隊・西村浩二と山本拓夫の音色が、スガのファンクをさらに煌びやかに仕上げていた。「Bank Bandと一緒に東北で歌うのは3回目で、いつも歌ってる歌を今日も歌わせてもらいます」と話してから歌ったのは、“Progress”。人差し指で空を指しながら、<あと一歩だけ、前に 進もう>という言葉を、力強く届けた。そして最後は、Mr.Children“ファスナー”を櫻井のコーラスとともに披露。櫻井は、あえてステージのセンターではなく、小田原ODY友洋、イシイモモコと並ぶ位置に立ってコーラスを歌うという、貴重なワンシーンを見せた。

M1:夕立ち
M2:Progress
M3:ファスナー

<Bank Band>
そして、そのまま櫻井がステージに残り、Bank Bandの楽曲を3曲演奏。大雨のなか、この時間まで残ってくれたお客さんに対して「誰よりも、なによりも、みなさんに大きな拍手をBank Bandから送ります」と感謝を述べて、『Reborn-Art Festival 2017× ap bank fes』初日のステージは幕を閉じた。地面に水たまりができるほどの大雨だったが、照明の光と音を浴びた雨粒はキラキラと輝いていた。

M1:こだまことだま
M2:Reborn
M3:奏逢 ~Bank Bandのテーマ~

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