「さまざまな、『小さな変化』をおこすような芸術祭に」

小林:震災があってね、石巻みたいなああいうところに人が集まり出して、僕らがあそこにいって、いろんな人と会う。やっぱり「出会う」っていうことがすごく大事と思うんですよね。


浩一:やはり住んでる人たちに出会ったのは大きかったよね。

恵津子:地元の若い人たちと話をしてて、未来に対する考えが素敵なのね。羨ましいな、こんな元気とエネルギーがあって、東京には絶対にないな、これって。これいただかなきゃ、っていうのはすごく思いました。

浩一:逆に今回すごく面白いと思うのは、東京の人間にとってはとても新鮮なものが石巻にはあるっていう点でした。それは環境だったり食だったり時間の使い方だったり。なんか今回の芸術祭がいい意味で、牡鹿とか石巻の自慢大会みたいな「こんなにいい生活してるのよ」みたいなことを観客に見てもらえるような機会になるといいなって。その中でアーティストがサポートしていくような、そういう図式になるといいなと思いますね。

中沢:微妙なところが変わっていくだけでも僕らは大事なことしてるなって思うんです。

小林:そうですね。

中沢:やってきたアーティストが少し変わった、一緒にやった石巻の人が少し変わった。その分子的な変わり方がすごく重大なんだ。そういう変化つくり出すことを僕らは今まで怠ってたんじゃないかな。

浩一:アーティストの選択は、かなり面白いものになってます。あとは出来上がってくるものが、地域の人とコミットすると絶対に変わってくるので、普段、例えばヨーロッパでつくってるものと全然違ったものを出してくれると思います。それが食と絡んだりとか音楽と絡んだりとか、地元の人と絡んだりとか、その点も楽しみです。

中沢:食がだんだん前面に出始めてきていて、僕はとても気に入ってます。人間と自然を繋いでる、一番日常的で、一番確実なものって食べ物だからね。

浩一:アーティストも、石巻に行って制作するっていうのは「美味しいものが食べられる」っていうのもあるから、結構長くいても大丈夫、みたいなことを言うアーティストもいます。

小林:そうですね。プレイベントですら、かなりの内容ですよね。

恵津子:楽しみですね。すごくいろんなものが食べられるみたいですよね。

小林:普通の音楽フェスのレベルじゃないんですよ。今回は生産者と直接繋がる部分っていうのもあるし。この前対談した目黒さんがね、いろいろなレイヤー持ってるんですよ。プレイベントは始まりであって、来年に向けてそこは本当に充実させていきたいと思っています。石巻は本当に、ご褒美として食の楽しみがありますよね。来る人は本当に楽しみにしてもらって良いと思います。