「『こだま、ことだま。』というタイトルに込められたいろいろなこと」

櫻井:タイトルは最後まで悩んで。最初の「carry on, carry out」っていうのが、こだましてるようなものなので。音の響きだけでいうと「carry on, carry out」って、そんなに言葉が飛び込んでこない。でも日本語で訳すと「継続して、やり遂げる」ということで、日本語でちゃんと噛みしめた時に、結構重い言葉だなって思ってる。あと、隠れたメッセージなんですが、「こだま」と「ことだま」の違いは、「と」が入ってるかいないかっていうこと。この「と」っていうのは、何かと何かをつなぐもの。その出会いの場所っていうか、人と人を繋げるっていう一番の目的というか、それを隠れテーマで入れてみたかった。だからそれを森本(千絵)さん※ にも伝えてジャケットにも表してもらって。

小林:「&」だよね。最終的にデザインも、ロックが豊かだった60年代の後半とか70年代の多様な創造性みたいなものが溢れて出てくるっていう、そういう多様なものが深く、鋭く、いろいろな表現してていいんだっていう、そういう思い切りの良さを込めたいというのはあったんですよね。

櫻井:森本さん、最初なんて言ってたんでしたっけ。

ー「郵便配達の人が丘の上でラッパを吹いているイメージ」。

櫻井:(笑)、でもすごいぴったりだなあと思って。

小林:Bank Bandも含めてビートルズとかそういうのに影響受けたミュージシャンたちが奏でてるっていう感じと、一方で、櫻井和寿という、言葉を歌にして紡ぎ出していくという、もしかしたら60年代、70年代のフォーク的な気配と。そういうものが融合してるって感じもしてる。いろんなものが、種をもらったりしながら異化して、普通でいうと出会わなかったようなジャンルを超えて、来年の Reborn-Art Festival っていうところで、いろんな出会いが起こるといいなと思ってるんですけどね。

櫻井:その、丘の上でラッパ吹いてるのがミュージシャンじゃないところも良くて。ラッパを吹いてどこかに高らかに響かせて終わるんじゃなくて、吹いてる人が郵便屋さんだから、ちゃんとそのあとに、一人ひとりのところに届けにいくっていうか。

小林:あと、このCDには一つ取り組みがあって、前から櫻井がアイデアとして持っていたんだけど、地元の人たちに手仕事として関わっていただくという試みをやってみることになりました。手仕事ということもあって、製造数に限りがあるので会場での販売なんですけどね。会場に来る人は楽しみにしていてください。

※森本千絵 コミュニケーションディレクター、アートディレクター、goen°主宰。今回の「こだま、ことだま。」のジャケットデザインを手がけた。