「食の空間をシェアしながら、循環に加わる」

目黒: この夏の「Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016」ではまず、フェスに来てくれる多くのお客さんへの食の提供を担わなくてはというのが、第一にあります。お客さんへの食が足りなくなることは、あってはならないこと。でも、過剰に作ってフードロスを出すこともしたくない。食に対しての意識や興味も、様々だと思うんです。それを踏まえて今回、3つのエリアでの構成を考えています。
まずは、一日中続くフェスの中で、今までのap bank fesのフードエリアの流れも取り入れ、手軽に食事がとれるエリア。そして今年のイベントをきっかけに、今後も石巻に足を運んでいただけるように、石巻で活躍されている漁師さんや地元の飲食店の方々と直接コミュニケーションをとってもらえるようなエリア。ここはお客さんの心に地域と食が自然と繋がっていく場所にしたいと考えています。そして地元で頑張っているシェフや、世界で活躍されているシェフが集結して、石巻を中心とした地元の食材とコラボするレストランエリアです。

小林:今回のプレイベントの会場を、海からすぐ近くの埠頭につくりだすことも、ある意味エッジのたった話だとは思っていて。その際(きわ)というか、ゼロから始めて人の力と命を繋がせてもらうことも、『Reborn-Art』の始まりとなると思うんです。朝から夜まで続くフェスの時間の流れを、自然にシェアしていくような。そういうことも感じて頂ければ良いよね。
フェスの会場でスペシャルな「食」に出会えることも、やっぱり楽しみにしてきてほしいなと思っています。当日のメニューは、関わってくれる方々の知恵と技術と愛情が詰まった食事が提供される、という感じですよね。


目黒:そうですね。お皿の中に石巻を中心とした地元の食材とシェフの魅力を表現しようと思っています。ディナーについても国内トップレベルのシェフたちが、一つのコースをつくりあげていきます。このようにシェフたちが一気に集まるような野外でのフェスイベントは、今までにないんですよ。僕が小林さんの話を聞いて、すごくわくわくしたように、みんな同じ想いで集まってくれています。東北ならではの風土から育まれた豊かで自然の恩恵を受けた食材や、漁師さんや農家さんたちの手によって大事に育て上げられた食材が、一流のシェフによって、最高の料理へと変わるのです。そしてそれを、この自然豊かな東北で、地域のシェフたちとともに完成されていく様子は、まさにそれだけで素晴らしいアートです。次々とシェフたちの手によって仕上げられていくライブ感あふれる料理を見ながら、ランチやディナーを楽しめる夢のような空間になると思います。

小林:何人くらいのシェフたちが集まるんですか?

目黒:今年のプレイベントは総勢20名以上のプロのシェフとサービスマンが集まります。今年は日程が合わなくて、参加したくてもできないシェフもいるんですよね。そのシェフたちも、志を同じくしてくれているので、2017年の本祭では一緒に何かできればと思っています。
あともう一つ、レストランには、「Reborn-Art Festival」のテーマの一つでもある「学び」という要素を取り入れています。今回、東北を中心とした若手のシェフたちをボランティアとして受け入れたいと考えているんです。何か関わってもらえる機会がつくれたら良いなと思って。それがきっかけになって、つながっていければ、貴重な学びの場にもなるんだろうなと。そういった点でも、すごく価値のあるイベントになれればいいなと思います。

高台移転地など日々変化する浜の風景


小林:究極のシェフたちのコラボと地域の食材を使って、みんなで作り上げるイベントにしたいですね。食材だけではなくて、「次の世代へのバトン」も含まれている料理だと思って食べてもらいたいよね。
食というものに、みんなで真剣に向き合いながらもっと楽しい食の世界をつくっていこうよ。もちろん、第一次産業とも絡んだりするムーブメントが今の時代にありますよね。それを更に広めたり、共鳴してもらえるようにしたいし、お客さんに食べて参加してもらうことで、色んなことを楽しくキャッチしてもらいたいよね。
それにしても来年の白い浜のレストラン(★)は本当に楽しみだね。浜のお母さんたちと一緒に、お客さんをもてなすような、多目的なカフェのようなものを考えているんだけども。郷土の料理をちょっとアレンジしたようなものが食べられたり、居心地の良さみたいなものも含めて、いろいろな感覚を持っている人をこれからも巻き込んでいきたいね。

(★)現在、検討段階のため内容が変更になる可能性があります。