いよいよReborn-Art Festivalの本祭が7/22〜9/10の51日間にわたって行われます。そのスタートを飾るイベントとして、今年もap bank fesの開催が決定しました。
今回は会場が国営みちのく杜の湖畔公園となったことも発表されています。
新しいかたちの「お祭り」を東北で行うということ。そこに込められた思いをふたりが語ります。
Reborn-Art Festivalを「東北のイベント」として捉えられるようなイベントにしていきたい
小林:去年、4年ぶりのap bank fesを開催することになったときは、震災の被害があった石巻という土地でゼロベースから始めるという表現の仕方を考えていたので、本当になにもない、石巻港雲雀野地区という場所で開催したんだよね。今年、牡鹿半島で行われるReborn-Art Festivalのプレイベントとして、アートと食と音楽を、本祭の開催エリアにより近い位置で体験してもらうということも目指していたので。
櫻井:石巻の地元の方々にも協力して頂いたり、参加して頂いたりということを含めてね。
小林:色んな意味ですごく意義のある場所での開催だった。ただ、実際問題としてインフラのないところで3日間の音楽フェスを開催するということは経済的に負担がかかるというのも事実でね。僕らとしては被災地で始まったこのイベントを1回、2回で終わらせるのではなくて10年くらい先まで定期的に続けていきたいと思っているので、よりサスティナブルな方向性で、もう少し運営しやすい場所を検討していったんだよね。その中で、このReborn-Art Festivalが東北全体のお祭りであるという思いも僕らの中で強くなってきて。
櫻井:小林さんは「東北ごと」という言葉を使ってましたよね。
小林:そう。僕らとしては「東北の再生」をテーマに掲げているこのお祭りを、東北の人たちみんなに「自分たちの住む地域で行われるイベント」として捉えて頂きたいという思いを持っているんだよね。今回、ap bank fesを開催する国営みちのく杜の湖畔公園は、宮城、福島、山形、岩手、どこからも比較的アクセスしやすい場所です。「東北ごと」として捉えられるようなイベントにしていきたいReborn-Art Festivalのスタートとなるような音楽祭を、そこで開催できることに、今年はとても意味があるのではないかと思っている。
櫻井:今年はこの3日間のap bank fes以外にも、Reborn-Art Festivalの会期中は「51日間、毎日どこかで音楽が鳴っているプログラム」を計画しているんですよね。僕はミュージシャンとして、そこにもとても興味があって楽しみにしてるんです。きっとそれは、ap bank fesとはまた違って、もうちょっと気軽な感じの音楽になるのかなと思っていて。僕も自分がやるとしたら、ちっちゃなところでお客さんとコミュニケーションをとりながら、身近な感じでやりたいなと思ってます。
小林:うん、そういうのがすごくいいよね。メインエリアとなる牡鹿半島には大きなステージを作るわけでもないし、場所も「音楽はここでやる」と決めているわけじゃない。小さなライブだったりパフォーマンスだったりが、毎日Reborn-Art Festivalのどこかで行われているということだけが決まっているんだけどね。
櫻井:前もって発表されたプログラムを見て訪れるのではなく、「行ってみたらその日たまたまこの人がライブをやっていた」みたいなことの方が面白いんじゃないかな。
小林:まさにそんなことをイメージしてる。場所や出演ミュージシャンを告知するものもあるかもしれないけれど、普段のライブのように時間や場所を厳密に知らせない形のパフォーマンスも多いと思う。
櫻井:一期一会の出会いということですよね。
小林:有名なミュージシャンでも、まだそんなに名前を知られていないミュージシャンでも、その日偶然そこに居合わせたお客さんに「わ、すごくいいものと出会えたな」「忘れられない体験になった」と感じてもらえるような音楽の鳴らし方、在り方があるんじゃないかなと思ってるんだよね。参加するミュージシャンにもそういうレアな、即興性みたいなものも楽しんでもらいたいし。
櫻井:……その一期一会の場面を、どこかに残せないかな? オフィシャルで動画をアップしたりね。事前に告知をしない分、あとになって「見たかったなー」と思う人がいっぱいいるかもしれない。そういう人達にも楽しんでもらえるようにできるとすごくいいですよね。
小林:それはぜひ実現したいね。SNSも駆使してね。会場にいなくても、たとえば東京にいても、仕事をしていても、期間中はずっと「なんだかあそこで色んなことが起こっているな」という気配を感じてもらいたいから。
櫻井:そうですね。あと、僕がこの芸術祭の話を聞いた時、最初に思ったことは、このイベントがあることで地元の人が喜んでくれたり、いきがいを持ってもらえるといいなということだったんです。いろいろなアプローチで、東北の方々にもその空気を感じてもらえたらいいなって。