Cエリアにある荻浜小学校には、パルコキノシタさん、金氏徹平さんの作品の他に、「荻小×ARTーおらほのはまがっこー」というタイトルでの企画が行われています。この展示には、約20組の作家や団体による展示やワークショップ等の企画が集まっています。



「荻小×ART ーおらほのはまがっこー」が始まるきっかけは、石巻で活動するアーティストの方々の声がきっかけです。「Reborn-Art Festivalは始まるけれど、どう関れるのか」「Reborn-Art Festivalをきっかけに石巻を訪れる方に、作品をみてほしい」と、事務局側と意見交換をしていた中で、この荻浜小学校を舞台に地元の有志の企画として活用してもらうことになりました。活動しているメンバーが集まり、夜な夜な集まって話し合いや下見を進め、期間に向けて掃除をしたりと、それまでは閉めっきりだった教室に人が入るようになり、校内の空気がかわっていきました。


この荻浜小学校は平成25年から休校状態が続いていたのですが、つい最近閉校になることがきまってしまいました。東日本大震災の時には、避難所にもなった場所です。会期中には、荻小の卒業生、ボランティアや復興の活動で通った人達も訪れ、懐かしまれていました。展示の写真に登場する本人や、家族の人が見に来てくれたり、音楽室で校歌を唄いながら鑑賞する事も…。準備の中では、歴史資料室を今のまま残しつつ、少し手を加えてお客さんにみてもらいやすいように整えることも行いました。残っている写真や文集から浜の顔なじみの方のお名前を見つけたり、避難所の時に使われていた資料を見つけて改めてその時を思い出したりも…。荻浜小学校だからこその歴史が詰まっています。

完成した展示というだけではなく、滞在制作や、ワークショップ、作品のメンテナンスや会期中に作品が変化するものもあり、制作者や地元の人の出入りが多いのが「荻浜×ART -おらほのはまがっこ-」展の特徴です。例えば…、牡鹿半島に住む彫刻家の富松篤さんは、中庭で牡鹿半島の流木を使い動物の彫刻作品を作り続けています。昨年度、石巻萬画館で行われた、「つづく展」に参加した石巻に暮らす写真家4名による展示も、校内の様々な場所で展開されています。教室を活かした、震災の前と後の石巻に向合うような渡邊裕紀さんの展示や、石巻の朝を記録し続ける、音楽室での鈴木省一さんの展示。音楽も流れています。屋上で洗濯物を干すように、巨大な写真が点在する平井慶祐さんの作品。その隣には、大崎晴地さんの「seafloor」では、この桃浦の海底の音を体験できる装置的な作品です。

体育館脇にある、小さなウサギ小屋と(こちらは中にも入れます!)、階段の2カ所に展示をした古里裕美さん。ペンギンズアート工房さんは期間中に展示を入れ替えていきます。また、鮎川にお住まいの伊藤成男さんは、貝殻を使った工芸や、鮎川ならではの鯨の骨や歯を利用した品々を博物館的に紹介しています。放送室の面白い空間を活かしたP太郎さんの展示や、廊下にも日和スタイルさんの、洋服の記憶にまつわる展示。そして、野外の渡り廊下には齋藤寛子さんの布を使ったインスタレーションがあります。

石巻こけしでおなじみの林貴俊さんによるこけしの絵付けワークショップ、また、ivokuma×kurokumamiccoさんのように作品や関連のグッズを販売している日もありますよ。制作者の方と直接コミュニケーションをしながら、体験やお買い物ができます。東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科 の学生さん達による「うちわ作り」ワークショップでは、子供連れの親子で賑わっていた日もあれば、にじいろクレヨンさんによる陶芸教室の場面もありました。(終了しました)

また、会場の全体の施工は乃村工藝さんに手がけてもらいました。東日本大震災復興支援「みんな つながろう!」プロジェクトとして、乃村工藝さんの新人研修の一貫で牡鹿の聞き書きを活かした「牡鹿の望縁鏡」。

少しつかれた時には、よらいんフォンデュの部屋で楽しく休憩ができます。お茶っこでは地元のお母さん達との楽しいおしゃべり。地元の方によるアロママッサージも好評です。(お茶っこ会は毎週土曜日開催。アロママッサージは不定期開催です)また、太田和美と嶋脇佑さんは、なにやら映画を作っているらしいです…!

自分たちの発表の場としても、地域や時間に向合う場所としても、仲間やお客さんと楽しみ合う場としても、今回のReborn-Art Festivalがきっかけで再び人が行き来するようになった荻浜小学校。この動きを、これからもっと色々な人と進めたり、廃校になってもこの場所が活きるような場にしていけないか考え始めています。詳細は追ってお知らせしますが、残りの会期での荻小の動きを乞うご期待ください!